山本桂輔

個展「横断」

untitled 2009 oil, collage on canvas 162.0 × 130.0 cm ©Keisuke Yamamoto

<作品紹介>
近年の山本の作風には、抽象的な要素と絡み合った絵の具の物質としての力強い存在がみられます。キャンバスに絵の具で描く、ということを目の当たりにする感覚を与えるのです。画面に描かれたものはイメージだけではなく、絵の具という物質としての存在をも主張しています。レリーフ状に盛られたそれは、もはや平面であることにはとらわれず、こういうものがペインティングである、という私たちがなんとなく信じていた約束事によって見えなくなっていたものを見せてくれます。このような進化/変化は、彫刻の出身の山本が、絵画と彫刻を常に並行して制作するなかでおこなう「横断」という試みによって可能になっているのでしょう。

<展覧会について>
今回の展覧会タイトルである「横断」を山本は次のように説明しています。

「画面の中を、作品と作品の間を、そしてまた様々な要素や次元を横断するという事。途中にあるであろう中間の存在。断ちきる事で表れる断面。繋がりや交錯の中で組み上げられていく秩序や、相互関係。これらの横断という意識は私が物を作る上で大事にしている部分です。それは、何かの再現ではない、存在へのアプローチの一つの手段であると考えています。」

この展覧会では新作ドローイング数点と、同じく新作のペインティング12点を展示予定です。絵画でありながらものとして存在するそれらの作品は、イメージの中で色や形の交錯が様々なドラマを起こすことを見せてくれます。

 

作家プロフィール

山本桂輔

山本桂輔は彫刻と絵画の2つの表現方法を横断しながら、制作を行ってきました。2000年代までの作品では、草花やキノコ、妖精のようなモチーフが、有機的な曲線に巻き取られながら、独特の色彩の中にひとつのフォルムとして完結します。その幻想の世界感が極限まで肥大化したのが、2009年の個展「起立」で展示した高さ5mを超える巨大な彫刻でした。作品は生命力すら感じる圧倒的なボリュームと、派手な色彩で人々を魅了しました。以降山本の彫刻は少しずつ変わりはじめます。

2012年、山本は拾った古道具などに部材を加えたり、彫刻を施した作品を、個展「Brown Sculptures」で発表しました。それまで色に対する憧れ、絵画への憧れが強かった彼が、この展示では、比較的小さな木彫だけを展示し、しかも木工用の茶系の着色剤を使って、色を廃しました。かつて別の用途で使われていた道具をなにかに見立てる、あるいは擬人化することは、日本人にとって馴染み深く、ある種のフォークな感覚は山本の新たな展開を感じさせます。作家は自身の作品について、「人間の創作の歴史や衝動に興味があります。それらを意識しながら、彫刻と絵画は相互に関係を持ち、生成されていきます。」と語っています。

彼の制作を語る上で、彫刻との両輪として欠かすことのできない絵画。松井みどり氏は、山本の絵画について「幾何学形と植物のイメー ジを組み合わせることで、装飾的なデザインと象徴的な連想を統合する」と評しています。

山本桂輔は1979年、東京生まれ。2001年に東京造形大学彫刻科を卒業後、同大学研究生として 2003 年まで在籍。現在、神奈川を拠点に制作活動を行っています。小山登美夫ギャラリーでは、6 度の個展を行っており、主なグループ展に「、VOCA 展 2008」(2008 年、上野の森美術館、東京 )、松井みどりキュレーションによる「ウィンター・ガーデン:日本現代美術におけるマイクロポップ的想像力の展開」(2009 年、原美術館、以降世界巡回)、「Twist and Shout: Contemporary Art from Japan」(2009年、バンコク芸術文化センター、バンコク)、「ノスタルジー&ファンタジー 現代美術の想像力とその源泉」(2014年国立国際美術館、大阪)などがあります。作品は国立国際美術館などに収蔵されています。