小出ナオキ

個展「In These Days」

<作品紹介>
小出ナオキは、自分自身や彼を取り巻く身近な人々を、デフォルメされた彫刻作品で表現します。やすりで削られた FRP(強化プラスチック)のつるりとした表面や、くすんだパステルカラーの色合い、極端に上下へ引き延ばされたような 造形は、遊園地のアトラクションや街角のキャラクター人形を彷彿とさせますが、茫洋とした彼らの表情にはどこか現世 を超越した穏やかな笑みが浮かび、パブリックな存在としてのキャラクターとはかけ離れた、親密でどこか不気味ですら あるもの静かなたたずまいを見せています。時には小さなカバやサンショウウオ、カエルや猫といった動物達も仲間とし て登場します。前回、小山登美夫ギャラリーで行った個展『marriage』では、結婚式の衣装を身にまとった作家夫妻の 像と、それらを実際に式場に設置して撮影した家族のポートレート写真が展示されました。また作家のアトリエをかたど った立体では、その屋根の上に小鬼のような奇妙な護り神の姿になった友人達が配され、人の形になった入道雲のレリー フも登場するなど、異界と現世が混ざり合う、作家の目から捉えた不可思議な日常世界が展開しました。

 

<この展覧会について>
『In These Days(最近のこと)』と題された本展は、『marriage』のその後の作家を追う展覧会です。メインとなる高さ3メ ートル近くの立体作品『picnic with undead』では、大きな雲の城のようなあの世ともこの世ともつかない場所で、他界 した家族と今この世に生きる作家自身や家族とが、邂逅する場面が表現されています。にこやかな笑みをたたえた雲の内 部には、作家の身の回りの日常風景がやわらかく描かれ、あたかも子供達の遊び場のようです。また、これまで繰り返し 登場してきた作家と彼の妻のカップル像、彼らを異界へと導く、トーチカを掲げた雲の精など、3点の彫刻作品と、写真 作品が展示される予定です。

 

作家プロフィール

小出ナオキ

小出ナオキは1968年、愛知県生まれ。1992年に東京造形大学造形学部美術学科を卒業。現在は千葉県を拠点に制作活動を行っています。
2003年、岡田聡氏キュレーションによるグループ展「マジック・ルーム」(Project Room / 小山登美夫ギャラリー)に出展後、小山登美夫ギャラリーでは5度の個展を行っています。
その他の主な展覧会に、「カフェ・イン・水戸」(2004年、水戸芸術館現代美術ギャラリー、茨城)、「マジカル・アート・ライフ」(2006年、トーキョーワンダーサイト渋谷、東京)、「Fiction@Love」(2006年、MOCA Shanghai、上海、中国)、「neoneo Part1 [BOY]」(2009年、高橋コレクション日比谷、東京)、「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2009」(2009年、新潟)「Paul Clay」(2011年、Salon 94 Bowery、ニューヨーク)「高橋コレクション展 マインドフルネス!」(2013年、鹿児島県霧島アートの森、姶良郡、鹿児島 [ 札幌芸術の森美術館、札幌、北海道 へ巡回 ])などがあります。

小出ナオキは主にFRP(合成樹脂)、セラミック、木などを用い、愛らしくもどこか不気味で不思議な立体作品で、雲のお化けやドクロなど、異界のものたちや、自身とその家族を作品化してきました。小出の作品について、美術評論家の森口まどか氏は次のように書いています。

「日常や自己の内なるところから着想する在り方は、小出にかぎらず、今日のアートシーンにあっては定跡といっても良いほどだと思うが、その場合、微温的な暮らしをそのままかたちにしても作品としての強度は持ち得ない。小出ナオキの場合、臆面もなく家族や身近な人たちとの出来事を語りながら、センチメンタリズムに堕ちず、事の本質を見据えるふてぶてしさが、アーティストとしての核をなしているように見える。」(森口まどか 「小出ナオキの現在性」『Maternity Leave』小山登美夫ギャラリー、2012年)

また、小出は滋賀県立陶芸の森で滞在制作の機会を得たこともきっかけに、2009年頃から彫刻の主な素材をFRPからセラミックに変えました。FRPにはない、いわばセラミックという素材特有の”裏切り”を、小出は「まるで、子どもが産まれてくる前の父親に産まれた後の生活が想像できないような、そして、産まれて初めてその意味がようやく理解できる感じと似ています。制作する意味、が少し分かってきたような気がしている。」(小出ナオキ「主題」『Maternity Leave』小山登美夫ギャラリー、2012年)と語ります。小出の作品には、詩情にあふれ、自伝的でありながら、鑑賞者の記憶を本質的に刺激するような魅力をもっています。

1968年愛知県生まれ
1992年東京造形大学造形学部美術学科卒業