福居伸宏

個展「アンダーカレント」

undercurrent 01 2009-2011 pigment print a mounted on plexiglass 96.0 × 144.0 cm ©Nobuhiro Fukui

【作品紹介】

福居伸宏は、2004年より真夜中の都市の風景をモチーフに写真制作を続けています。午前0時から3時の間、その多くが曇りの日に撮影される都市は、無機質な、真夜中とは思えない薄明るさをまとっています。その光は都市自身が光源となって発し、空を覆う雲によって反射され、再び地上に戻り都市を照らし返す光なのです。人工の建築物に人工の光が重なって生まれるイメージは、私たちにとって見慣れたはずのものなのに、とても不思議な感覚を与えます。
また福居は写真の基本的な要素であるフレーミング、つまり空間が切り取られているということを際立たせるような作品の見せ方を心がけています。例えば2008年の小山登美夫ギャラリーでの個展「Juxtaposition」では、アクリルマウントの作品をぴったりとつけて一列に並べたり、上下にずらしたりして展示しました。それぞれの空間がつながっていくようでもあり、また写真一点一点が部分でしかないということ。それを示唆することで、フレームの外側を、その広大な無限を想像する余地が生まれると福居は言います。そして「写真をある種のウイルスだと位置づけている」と語る福居は、「メディアから大量供給される写真・映像・情報などによって制度化された視覚からの逸脱」を、写真を使うことによって追究するとともに、「見る」ということをより豊かに、そしてより自由にするような作品に取り組み続けています。

【展覧会について】

本展では、上述の夜の都市のシリーズに加え、新シリーズ「undercurrent」の作品も合わせ、約10点の作品を展示いたします。「undercurrent」は同様に夜の都市の、アスファルト舗装された道路を撮影したシリーズ。「見えているのに見えていないもの、存在するのに存在しないかのように扱われているものを可視化したり考察すること」という、福居の制作の大きなテーマにあてはまるものであり、近年の抽象写真再考の流れにも呼応するアブストラクトな作品です。是非ご高覧下さい。

作家プロフィール

福居伸宏

福居伸宏は1972年徳島県鳴門市生まれ。2004年から1年間、写真家金村修のワークショップに参加し、同年より真夜中の都市の風景をモチーフに写真制作を続けています。2006年にベルリンのJoachim Galleryで個展「There There」を開催し、2008年には、Paris PhotoにおいてBMW Paris Photo Prizeの審査員特別賞を受賞。また2009年に行われたフランス大使館旧館での「NO MAN’S LAND」、2010年の「『DOUBLE VISION』映像におけるフィクション/リアリティ」(トーキョーワンダーサイト渋谷)に出展し、2013年にはスイス、バーゼルのParzelle403で個展「B’」を開催しました。小山登美夫ギャラリーでは2008年、2010年、2011年と3度の個展を行っています。

「写真をある種のウイルスだと位置づけている」と語る福居は、「メディアから大量供給される写真・映像・情報などによって制度化された視覚からの逸脱」を、写真を使うことによって追究するとともに、「見る」ということをより豊かに、そしてより自由にするような作品に取り組み続けています。

1972 徳島県鳴門市生まれ
2004-2005 金村修ワークショップ参加