福居伸宏

個展「ジャクスタポジション」

installation view from Juxtaposition at Tomio Koyama Gallery, 2008 ©Nobuhiro Fukui

【作品紹介】

福居伸宏が最初に発表したシリーズである『Trans A.M.』(2005年)は、午前0時から3時の間に撮影された都市の光景でした。以降福居は、このモチーフを対象に制作を続けています。
「今日、人々の視覚経験は、直接的にも再帰的にもメディアから大量供給される映像と情報に規定されています。敷衍して言えば、人が何を知覚するのかは、『もの』ではなくメディアによるということです。そうした状況にある人々が、私の写真に感染することで、何を見るのか、何が見えるようになるのか、ということに興味があります」と語る作家は、私たちが普段見ているようで実は見過ごして来ているものを、くまなく画面へ再現することが写真の持つ可能性ではないかと指摘します。
隅々まで焦点の合った風景は、「真夜中」というイメージを覆すかのようなリアリティで浮かび上がり、異様な迫力で私たちに迫って来ます。写真というイリュージョンを使いながら、そこに写し出されるのは、私たちのメディア化された知覚・認識を越えた、圧倒的な風景なのです。

【展覧会について】

展覧会タイトルの「ジャクスタポジション」とは「並列」の意味です。都市空間を様々なポジションから縦横無尽に捉えた夜の風景は、あたかも最初から1枚のパノラマ写真としてつながっているかのように展示されていきます。
本展では新作の『Juxaposition』と、『Multiplies』(増殖)の2シリーズを、合わせて約20点展示致します。「何度見ても新たな発見があるような作品を目指したい」と言う作家の初個展を、是非この機会にご高覧ください。

作家プロフィール

福居伸宏

福居伸宏は1972年徳島県鳴門市生まれ。2004年から1年間、写真家金村修のワークショップに参加し、同年より真夜中の都市の風景をモチーフに写真制作を続けています。2006年にベルリンのJoachim Galleryで個展「There There」を開催し、2008年には、Paris PhotoにおいてBMW Paris Photo Prizeの審査員特別賞を受賞。また2009年に行われたフランス大使館旧館での「NO MAN’S LAND」、2010年の「『DOUBLE VISION』映像におけるフィクション/リアリティ」(トーキョーワンダーサイト渋谷)に出展し、2013年にはスイス、バーゼルのParzelle403で個展「B’」を開催しました。小山登美夫ギャラリーでは2008年、2010年、2011年と3度の個展を行っています。

「写真をある種のウイルスだと位置づけている」と語る福居は、「メディアから大量供給される写真・映像・情報などによって制度化された視覚からの逸脱」を、写真を使うことによって追究するとともに、「見る」ということをより豊かに、そしてより自由にするような作品に取り組み続けています。

1972 徳島県鳴門市生まれ
2004-2005 金村修ワークショップ参加