長井朋子

個展「木枯らしと、こんこ」

まちわびるまちわびる Waiting and waiting 2010 oil, glitter on canvas 130.2 × 162.2 cm ©︎Tomoko Nagai

<作品紹介>
長井朋子の作品には、森や部屋などの背景に、熊や猫、馬などのたくさんの動物たち、幼い少女や架空の生きもの、色とりどりの木やキノコなどが、まるで劇場のように配置されています。これは自分自身でも描ききれないような無数のイメージに満ちた、ひとつの壮大な空想世界の出来事の、一つ一つの場面なのだと長井は話します。様々なモチーフが絶妙のバランスで散りばめられた個々の作品はどれも、ある種の充足感をたたえ、世界が凝縮したような不思議な感覚、そして独特の空間性をもっています。
絵の上は偶然の集まりであると話す長井は、スケッチで成功すると満足してしまう、という理由で下描きはしません。また彼女は描く対象に応じて、それにふさわしい画材を選びます。油彩、アクリル絵具、水彩、色鉛筆、パステル、加えて様々な素材を使用したインスタレーションも手がけます。それによるマチエールや素材の違い、描き込みの程度の違いなどは、個々の要素としてリズムとなり、ひとつの音楽を生んでいるように思えます。彼女の画面には、明確な物語があるわけではありませんが、この音楽を感じる事によって、わたしたちはいつの間にか彼女の物語世界の中に入り込んでいることに気付くのです。

<展覧会について>
本展は小山登美夫ギャラリー京都と、同ビル1FのTKGエディションズ京都、両方の展示スペースを使用して開催されます。季節は冬、昔のどこか遠い場所。登場するのは白熊、イタチ、子ジカなどの動物たちや少女です。それらの動物たちが賑やかに登場する場面、また静寂の中まるで雪の降る音だけが聞こえるような場面など。平面作品だけでなく、壁画やインスタレーションによっても構成され、鑑賞しながらまるで物語の中を進んでいくような展示となります。是非ご高覧下さい。

 

作家プロフィール

長井朋子

長井朋子の作品には、森や部屋の背景に、たくさんの動物たちや、女の子、色とりどりの木やキノコなどが、まるで劇場のように配置されています。様々なモチーフが散りばめられた作品はどれも、空想の物語の世界が凝縮したような躍動感とイメージの層が複雑に重なり合う独特の空間性をもっています。絵画に加えて、立体制作や、インスタレーションも行う長井の作品は、多彩なマチエールや筆致、素材が不思議なリズムとなり、まるでひとつの音楽を奏でているかのようです。この旋律を感じる事で、わたしたちはいつの間にか彼女の作品世界の中に入り込んでいるのです。

長井朋子は1982年愛知県生まれ。2006年に愛知県立芸術大学を卒業し、現在は東京にて制作活動を行っています。2008年、東京オペラシティーアートギャラリーProject Nでの個展をはじめ、その後も京都、鹿児島、香港、シンガポールなどで個展を開催してきました。2017年には六本木ヒルズ A/D GALLERYで個展を行い、好評を博しました。2010年の「VOCA展2010 現代美術の展望-新しい平面の作家たち」(上野の森美術館、東京)に出展したほか、海外では、ヴェネツィア・ビエンナーレ関連企画展の「Future Pass – From Asia to the World」(Palazzo
Mangilli-Valmarana、ヴェネツィア、2011年)や、ソウル、グルノーブル、ベルリンでのグループ展に参加しています。また、東日本大震災の被災地である宮城県七ヶ浜にある遠山保育所(設計:髙橋一平建築事務所。2013年に竣工)の再建に際し、園児のための屋外プールに絵を描くプロジェクトに携わり、NHK Eテレの番組「時々迷々」オープニングに作品を提供するなど、美術館やギャラリーでの作品展示に限らず幅広く活動しています。作品は高橋コレクション(日本)、オルブリヒト・コレクション(ドイツ)、ザブラドウィッチ・コレクション(イギリス)、ジャピゴッツィコレクション(スイス/アメリカ)など国内外に収蔵されています。